「正社員と非正規社員の賃金格差」について、最高裁が初判断

最高裁が判断下す!

本日、平成30年6月1日に最高裁判所が
正社員と非正規社員の賃金の格差が不合理かどうか判断する際は、手当などの趣旨を個別に考慮すべきだ。
とする初めての判断を示しました。

この判決は、企業の雇用契約の在り方に影響する可能性がありますので、詳細を説明したいと思います。

労働契約法20条とは

労働契約法20条では、
「有期雇用の労働者と正社員の間の待遇の違いは不合理なものであってはならない。」
と定めています。

この不合理かどうかを判断するにあたっては、業務の内容や責任の程度、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮する
こととされています。

賃金にさまざまな格差

しかし現状は、正社員の賃金と非正規社員の賃金とでは、さまざまな格差があります。

厚生労働省の調査では、
【通勤手当】については、正社員に支給していると答えたのは90.4%、
正社員以外にも支給していると答えたのは76.4%でした。

【住宅手当】について、は正社員に支給していると答えたのは38.4%だったのに対して、
正社員以外に支給していると答えたのはわずか1.5%でした。

【家族手当】について、は正社員に支給していると答えたのは49.2%、
正社員以外に支給していると答えたのは2.3%でした。

【精勤手当】についは、正社員に支給していると答えたのは20.7%、
正社員以外に支給していると答えたのは5.8%でした。

【賞与】については、正社員に支給していると答えたのは84.6%、
正社員以外に支給していると答えたのは33.7%でした。

【退職金】については、正社員に支給していると答えたのは71.7%、
正社員以外に支給していると答えたのは8.7%でした。

【定期的な昇給】については、正社員に実施していると答えたのは71.8%、
正社員以外に実施していると答えたのは32.3%でした。

こうした正社員と正社員以外の賃金の格差が、合理的か不合理かが各地の裁判で争われていますが、今回の最高裁判決で、正社員と非正規社員の賃金の格差が合理的か不合理かを判断する際は、手当などの趣旨を個別に考慮すべきだ。
と判断を示しました。

判決内容

手当などの趣旨を個別に考慮した結果、以下のように判決しました。

【住宅手当】【家族手当】については、正社員には引っ越しを伴う配置転換があることなどから、格差があっても不合理ではないと指摘しました。

【精勤手当】については、仕事の内容が同じである以上、出勤を奨励する必要性に違いはないとして、格差を設けるのは不合理だと判断しました。

【通勤手当】、【運送会社の無事故手当】、【作業手当】、【給食手当】については、「職務の内容によって差が生じるものではない」などとして、不合理な格差だとしました。

【皆勤手当】については、格差を設けるのは不合理だとしました。

手当の内容などは企業によって異なりますが、この判決によって、同じような形で手当に差を設けている企業にとっては、雇用契約の在り方に影響する可能性がでてきた。と言えそうです

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