顧問先事業主様からの質問
従業員の給料を下げることは法律上可能ですか?
給料を下げるなど、従業員にとって不利益になるような変更を難しい言葉で
労働条件の不利益変更と言います。
この労働条件の不利益変更の仕方は、
1.個々の労働者の同意を得る
2.就業規則の変更
3.労働協約の変更
があります。
このうち、「2. 就業規則の変更」は、従業員の同意を得ることなく行えるので、
いろいろと問題が残ります。
それで、『第4銀行事件(最判H9.2.28)』により一定の要件が示されました。
この判例を踏まえて、労働契約法9条・10条には以下のように規定されています。
労働契約法9条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の
内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
労働契約法10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を
労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、
労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の
就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、
当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない
労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
【労働契約法9条の意味】
労働契約法第9条は、使用者は労働者と合意することなく就業規則の変更により労働条件を労働者の不利益に変更することはできないとしています。
ただし、第10条の場合に限っては、第9条に規定する原則の例外であることを規定しています。
【労働契約法10条の意味】
労働契約法第10条は、「就業規則の変更」という方法によって
「労働条件を変更する場合」においては
次の要件を満たした場合に限っては、「労働者の合意」がなくても不利益変更はできる。
1.変更後の就業規則を労働者に周知させる
2.就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度
3.労働条件の変更の必要性
4.変更後の就業規則の内容の相当性(同業他社との比較等)
5.労働組合等との交渉の状況(会社側も譲歩しているか。例:労働時間の短縮等)
と照らして合理的なものであるとき
としている。
また、『みちのく銀行事件(最判H12.9.7)』では、給料などの労働条件の変更の場合には、
通常の労働条件の不利益変更以上に、合理性の判断は厳しくされる。ともしている。
さらに、賃金規定の変更が不利益に当たるか否かは、高円寺交通事件(最判S2.6.5)により
たとえ個々の給与や手当に不利益が生じても当然に不利益変更になるのではなく、
総額をもって不利益変更に当たるか否かが判断される。
としています。
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