顧問先事業主様からの質問
業務が終わってもなかなかタイムカードを押さない社員がいて困っています。
労働時間とタイムカードの打刻との関係
たとえば、午後6時に終業時間となっており、実際にも午後6時に仕事が終っているのにも関わらず、タイムカードの打刻時刻が午後6時30分になっていた場合、労働時間は午後6時まで。と扱って問題はないか?との質問をよく受けます。
判例では、
会社はタイムカードを従業員の遅刻・欠勤をチェックする趣旨で設置していると考えられ・・・・・従業員の労働時間を算定するために設置されたものではないと認められる。従って、タイムカードに打刻・記載された時刻をもって直ちに原告らの就労の始期・終期を認めることはできない。としていました。
(北陽電気事件判決 大阪地裁H1.4.20)
しかもタイムカードの打刻時刻の労働時間の立証責任は労働者側にある。とも判示しました。
しかし、この判例が下記のように変わりましたので注意が必要です。
タイムカードに打刻された時刻にその社員が所在したといいうるものであり、通常、その記載が社員の出勤・退勤時刻を表示するものである。そこで、特段の事情がない限り、タイムカードの記載する時刻をもって出勤・退勤の時刻だと推認できるものであり、・・・・タイムカードを打刻すべき時刻について特段の取り決めがなされたとの事情がうかがえない本件においては、タイムカードの記載された出勤・退勤時刻と就労の始期・終期との間にそごがあることが証明されない限り、タイムカードに記載された出勤・退勤の時刻をもって実労働時間と認定すべきである。
(千里山生活協同組合事件 東京地裁S63.5.27)
しかもタイムカードの打刻時刻と実際の労働時間との間のそごの立証責任は会社側にある。とも判示されました。
よって、会社は、就労が終ったら即刻タイムカードを打刻するように指導して、さらに毎日のようにタイムカードの打刻時刻と実際の就労時刻との間に、誤りがないかをチェックする必要があると思います。
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