独身寮や寄宿舎を設置する場合の注意点
通常ですと従業員は、自宅で生活し、自宅から会社に出勤します。
しかし、独身寮や寄宿舎など、従業員は会社が提供した住居で生活し、そこから会社に出勤する場合もあります。
独身寮や寄宿舎など会社が提供した住居で生活をしていますと、プライベートな時間がとれず、常に仕事のことを考えていなければならないような状況におかれる可能性もあります。
ですので、従業員を独身寮や寄宿舎など会社が提供した住居で生活させる場合の注意点をご説明します。
独身寮と寄宿舎の違い
では、労働基準法上、独身寮や寄宿舎は違うのでしょうか?
昭和23年3月30日 508号の通達では寄宿舎を、下記のように定義付けています。
「常態として相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備えるものをいい、事業に附属するものとは、事業経営の必要上その一部として設けられているような事業との関連性を持つことを言う。」
したがって寄宿舎であるか否かの判断基準は次のようになります。
(1) 相当人数の労働者が宿泊しているか否か
(2) その場所が独立または区画された施設であるか否か
(3) 単に便所・炊事場・浴室などが共同というだけでなく、一定の規律・制限により起居寝食等の生活態様を共にしているか否か
などによって判断されます。
よって、社宅のように従業員がそれぞれ独立の生活を営むものや、少人数の従業員が事業主の家族と同居する住み込みのようなものは、寄宿舎に該当しません。
以上より、独身寮は、必ずしも事業の必要から共同生活が要請されたものとはいえず、一般には労働基準法の寄宿舎には該当しません。
寄宿舎の法的規制
従業員に提供している住居が、寄宿舎に該当するとした場合、法律上はどのような規制があるのでしょうか。
労働基準法では、寄宿舎の規制について、94条と95条と96条の2の3つで定めています。
労基法94条による規制
(労基法94条1項)
使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。
(労基法94条2項)
使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。
事業附属寄宿舎規定第4条では、使用者が寄宿労働者の私生活の自由を侵す行為として、次の行為を掲げ禁止しています。
(1) 外出又は外泊について使用者の承認を受けさせること
(2) 教育、娯楽その他の行事に参加を強制すること
(3) 共同の利益を害する場所及び時間を除き、面会の自由を制限すること
労基法95条による規制
(労基法95条1項)
使用者は、寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
と定めています。
具体的に寄宿舎規則で定めなくてはいけないことは以下の通りです。
(1) 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
(2) 行事に関する事項
(3) 食事に関する事項
(4) 安全及び衛生に関する事項
(5) 建設物及び設備の管理に関する事項
また定めた寄宿舎規則は、
寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければなりません。
注意が必要な点は、就業規則のように従業員に意見を求めるのではなく、過半数従業員の同意が必要な点です。
労基法96条の2による規制
(労基法96条の2)
使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業等の寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、所定の計画を、工事着手14日前までに労働基準監督署長に届け出なければならない。
10人以上を寄宿舎に住まわせる場合には、設置届を労働基準監督署に提出しなければならない。と言う意味です。
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