顧問先事業主様からの質問
勝手に自主残業をする社員がいて困っています
従業員の中には、会社の提示の終了時間が来ても帰宅せずに、そのまま会社に残り残業手当を請求してくる者もいます。
残業命令を出して残業して貰っているのならいざ知らず、定時に帰宅して欲しいのに、勝手に残業をされても会社としては困ります。
従業員が仕事の終了後も勝手に職場に残って残業をしていた場合、「残業命令なんて出していません。だから残業代も払いません」
との主張が通れば良いのですが、それが会社による黙示の残業命令の認定につながるおそれもあります。
会社による黙示の残業命令とは、「残業しなさい」と、直接に命令しなくても、会社の雰囲気や残業が恒常的になっていた場合などに、暗黙のうちに残業命令を出しているのと同じ状態もことを言います。
黙示の残業命令だと認定されると、たとえ残業命令を出していなくても残業代は支払わなければいけません。
これを防止するためにはどうしたら良いでしょうか?
事前承認制と残業禁止命令
まずは、残業の事前承認制を採用しては如何でしょうか?
残業の事前承認制とは、残業をする場合は、必ず事前に会社に報告し承認を貰わなければならない。と言うものです。
しかし残業の事前承認制は、手始めとしては有効だと思いますが、残業の承認を与えてもいないのに勝手に残業をしていたとしても、上記の黙示の残業命令だったと認定されてしまえば、残業代を支払わなくてはいけなくなります。
よって、残業の事前承認を与えてもいないのに、勝手に残業をしている社員には、残業禁止命令を出してください。
判例でも
会社の明示の残業禁止の業務命令に反して、労働者が時間外又は深夜にわたり業務を行ったとしても、これを賃金算定の対象となる労働時間と解すことはできない。としています。
(神代学園ミューズ音楽院事件 東京高裁H17.3.30)
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