解雇と退職の違い

労働相談の中で、「解雇と退職」が曖昧に使われていることが見受けられます。
その違いを知ることは、無用なトラブルを避けるためには必要だと思います。

解雇も退職も、ともに労働契約の終了を意味する言葉ですが、
解雇とは 使用者が一方的に労働契約を解除することを言います
退職とは、解雇以外の労働契約の終了事由の総称です

解雇となる場合

解雇は、普通解雇と懲戒解雇に大別されます。

普通解雇

解雇は、労働契約を継続しがたいやむを得ない事由に基づくものです。
労働者側に事由がある場合と、会社側の都合である場合とに分かれます。

普通解雇には以下のものがあります。

整理解雇

いわゆるリストラです

雇用期間満了解雇

半年や1年など期間を定めて雇い入れた場合、その期間が満了した時点での雇止めは解雇にあたりません。
しかし契約が反復継続されている場合などは、期間満了による当然退職とはならず、解雇と同様にみなされます。

休職期間満了解雇

労働者が私傷病で長期に欠勤した場合、一定の期間解雇を猶予して休職として、休職事由が所定の期間満了時までに消滅しない場合、解雇の意思表示により雇用を終了させるものです。

本採用拒否解雇

試用期間は「解雇権留保付き労働契約」で、本採用拒否は、雇入れ後における一定期間後の解雇にあたります。

懲戒解雇

問題はここから先です。これに同意した場合は、双方が合意して労働契約を解除することになり、
「会社都合による退職」と考えられ、解雇とは言えない可能性があります。
労働者が 辞めたくないとの意思表示 を行い、それでも辞めてもらうと使用者が主張することで
明らかな「解雇」になります。
 
「辞めてくれないか」と言われた時点で「解雇」と受け止めてしまう労働者の心情は理解できますが、
厳密には上記の考え方になります。
従って、「解雇ですか」と尋ねるか、「自分は辞めたくありません」と意思表示をすることが、
「解雇か退職か」の紛争を避ける方法だと言えます。
また、 解雇通知や解雇理由書の発行 (労基法で労働者が求めた場合の解雇理由証明書交付が義務付けられている)を求
めることも必要です。
 
 解雇の場合、解雇の正当性や即日解雇による 解雇予告手当 の支払いが争いになる可能性があるため、
使用者は「解雇」の言葉を使わず、暗に退職を強要することがあります。労働者には辛いところですが、
きちんと対応していくほかありません。
 
 「辞めてくれないか」と言われ、きちんとした返事もせず、翌日から出勤せずに「解雇」を主張される場合があります。
これは、相談を受ける側としては大変困る行為になります。「退職の申し入れに同意して辞めた」とも使用者から
主張されかねません。
きちんと意思表示を行うことが必要です。
 
 期間の定めのある労働契約 の場合、「やむを得ない事由」がない限り、期間中途の解雇はできません。
もし、その期間中に解雇を行った場合には、労働契約期間中の「得べかりし賃金」を労働者から求められる可能性も
あります。
 
 解雇の際に、念のためと称して「退職届」の提出や押印を求められた事例がありました。
これは、後日「解雇ではない、退職だ」と主張される可能性があり、提出・押印をしてはいけません。

解雇の場合の留意点

30日前に予告するか即日解雇の場合は平均賃金の30日分以上の支払い( 解雇予告手当 )が必要です。
雇用保険被保険者の場合は、 会社都合 となり、待期期間 7日間で基本手当が受給可能です
(但し、手続きの関係で実際の支給まで1か月程度かかります)。
自己都合 退職の場合は、待期期間に加えて 3か月の給付制限 があります
(但し、手続きの関係で実際の支給まで4か月程度かかります)。

解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その 権利を濫用 したものとして、これを無効とする」(労働契約法第16条 )
とされています。

辞職

辞職とは 労働者が一方的に労働契約を解除すること

 民法では2週間前に申し出れば辞職可能です。会社の承認は不要です。
ただし、期間の定めのある労働契約の場合は労働者に「やむを得ない事由」(天災事変等)や
会社の承認がなければ、場合によっては、債務不履行で損害賠償義務が労働者に生じる可能性があります。
労基法第15条により、明示された労働条件と事実が相違する場合には、労働契約の即時解約が
認められています。
 会社の就業規則で、「退職は1ヶ月前に申し出ること」などの規定がある場合が多いようです。
判例では、民法で定めた2週間を延長することは出来ないなどの判断もありますが、
円満退職を求めているのであれば、その規則に従うのも必要かと思います。
まず、話し合いを勧めます。

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